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平成14年の主張

皇室の存在が民心の支えに

平成13年12月15日

 敬宮愛子さまのご誕生に日本列島が喜びに包まれたのは、皇室を敬愛し、親近感を持っている国民がいかに多いかを示す証しでもある。
 国民にとって、皇室はどのような存在だろう。憲法には「天皇は国民の象徴であり、国事行為を行う」とある。古来、天皇陛下や皇室の方々は天下泰平を祈願するための宮中祭祀を営まれてきた。
 さらに現在は全国各地を訪れ、国民に直接、励ましのお言葉をかけられるなど、お忙しい日々を過ごされている。
 神戸の大震災では被災地を見舞われた皇后陛下のお手を小学生が離そうとしなかったシーンが目に焼き付いている。終戦直後、昭和天皇は全国を巡幸され、多くの国民に戦災から立ち上がる勇気を与えられたという。
 これこそが皇室のもっとも大きな存在意義ではなかろうか。法的立場がどうであれ、これからも国民の心の支えであり続けてもらいたい。

※この主張は同日付産経新聞「談話室」のテーマ投稿「私と皇室」に掲載されました. 紙面スキャン画像


女帝認めるのが自然な姿

平成13年12月5日

 皇位継承権が男性にしか認められていないのは、2660年の皇室の歴史の中で明治22年以降のたかだか110年余である。したがって宮内庁の「伝統だから」は理由にならない。
 わが国において女帝は“つなぎ役”であることが多かったようだが、天皇ではないが卑弥呼のように国難の時期に重要な役割を果たした女王もいる。卑弥呼のような天皇がいてもいいのではないだろうか。男性天皇制が伝統でないならば、男性にこだわる理由はないはずである。

 もちろん、この論議と内親王殿下ご誕生を関連付けてはならない。内親王殿下は望まれてお生まれになったのである。それにまだ時間はいくらでもあるので、この問題は国民的合意を得られるまでじっくりと論議されるべきである。


テロ対策国会

平成13年10月29日
 テロ特措法(正式名:平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法)が29日成立した.実に長かった.9月11日,米国の経済の象徴である世界貿易センタービル,軍事の中枢である国防総省などが攻撃された同時多発テロ事件から1か月半余,日本は何をしてきたのだろうか.
 テロが発生したのは日本時間11日22時頃,22時35分には官邸連絡室が設置され,官房長官の緊急記者会見があったのは12日0時50分,この会見で小泉総理の声明が発表された.国防をあずかる中谷防衛庁長官はインドネシアを訪問中だったが直ちに帰朝命令が出された.12日朝には安全保障会議が開かれ,わが国の対処方針等が決定された.これまでの事件や災害に比べれば,海外で起きたこととしては迅速な対応だったと思う.
 しかし,国権の最高機関である国会はどうだろうか.予定どおり9月27日第153臨時国会が召集された.テロから半月が経っている.もっと早めるべきではなかっただろうか.確かに14日から数日にわたって閉会中審査が開かれたが,これも予定されていたことである.
 こればかりではない.臨時国会の審議内容も目を疑うことばかりである.とても20人以上の死者を出した国の最高意思決定機関の議論とは思えない.湾岸危機でも取り上げられた一体化論が問題になった.例えば,自衛隊の後方支援で「医薬品は運んでもいいが武器はだめ」.実際に自衛隊が米軍に対してこんなことが言えるだろうか.現地に行けば医薬品も武器も区別されない.すべて戦争に使われるものである.今回のテロ事件を契機に自衛隊に関する特集が数多くあったが,かつてモザンビークに派遣されたときのエピソードが紹介された.米国の艦船が食糧の入ったコンテナを運んできた.当然,他国の軍隊とともに運搬したものと思っていたら自衛隊はそばで眺めていただけらしい.なぜかというと,コンテナの中身をチェックさせてくれなかったからだそうだ.もしコンテナに武器が入っていたら憲法違反になるそうだ.自衛隊を派遣することができても活動できなければまったく意味がない.今次の自衛隊派遣でも同じ恥をかかせる気だろうか.もっと言えば湾岸危機では金だけ出して姿を見せなかった.アーミテージ国務副長官はこう言った.“Japan must show the flag!”.「日の丸を見せろ!」という意味ではないことは分かっている.「態度を明確にしろ」が正しい訳である.しかし,これまでの日本の協力の仕方に問題があったのは事実である.もっと具体的な協力をしなければならない.とするならば「日の丸を見せろ!」という訳は適訳ではないだろうか.他にも「戦闘機への給油は駄目だが,戦車ならよい」,戦闘機は高速で移動するから武力行使と一体化するが戦車は遅いからよいという理屈である.同じ医療行為でも民間人には認められるが軍人には認められないらしい.
 これらは内閣法制局というところが作った「一体化論」によるものらしい.政府部内にも「医療行為も武力行使と一体化というなら,ナイチンゲールも“一体化”となり,世界で通用しない議論だ」(安倍晋三官房副長官)といった意見がある.改めて言うが,日本人は20人以上殺されている,地下鉄サリンテロの2倍もの人々が殺されている.現実を無視した神学論争はもうこりごりである.
 法案審議の終盤では野党民主党が国民を裏切った.事後承認は認めないというのである.国民の立場にたてば事前でも事後でも迅速に対応を取れればどちらでもよいのであるが,小泉総理も鳩山代表も国民そっちのけで政治的駆け引きを優先したようだ.
 しつこいようだが,もう一度言う.日本人が大量に殺されたのである.このテロはアメリカで起きた,アメリカを狙ったテロではないのだ.まさに日本が直接攻撃を受けたのだ.これぐらいの気持ちを持たなければ国を守ることはできない.
 最後に,私が知る限りでは誰も取り上げていないので付け加えるが,日本人被害者の全員が見つかったわけではない.自衛隊をニューヨークに派遣して毎日毎日努力している現地の消防隊員の支援をできないものだろうか.

小泉総理の靖国神社参拝

平成13年8月15日

 きょう8月15日は太平洋戦争(大東亜戦争)の戦闘が終結してから56年の「終戦の日」である.小泉総理は自由民主党総裁選のときに「まして総理大臣に就任したら、8月15日、戦没慰霊祭が行なわれるその日に、いかなる批判があろうとも必ず参拝します。」と発言して以来,国会でも8月15日参拝を明言してきた.“公約”という言葉を使ったかどうかは知らないが,ここまできたらもはや“公約”以外の何者でもない.総理の15日参拝は戦没者遺族を中心として,多くの国民が望んでいたことである.また,戦後日本の出発点であるこの日に総理が参拝するのは当然であろうと思う.政教分離に抵触するという人もいるかもしれないが,靖国神社は戦没者が一同に眠る唯一の場所なのである.国立の千鳥ヶ淵墓苑があるがここは無名戦士の墓であり,しかも魂が宿っていないのである.それに政教分離というのは特定の宗教を推し進めたりすることが問題なのであり,今回の参拝が神道を推し進めることにはならないと思う.この問題を論じるときによく出てくるのが,“公式”なのか“私的”なのかである.しかし,神社に参拝するのに公式参拝とか私的な参拝とか区別する必要があるのだろうか.つまり“小泉純一郎内閣総理大臣”と“小泉純一郎さん”を区別する必要があるのだろうか。こんなことを論じること自体馬鹿馬鹿しい.この答えは小泉総理自身が述べているので引用しよう.『内閣総理大臣である小泉純一郎が参拝するものであります。それだけであります。』ああいえばこういう人もいるもので今度は「内閣総理大臣 小泉純一郎」と記帳したことについて噛み付いてきた.こう書いたら政教分離に反するそうだ.実に馬鹿げている,日本という国は自分の職業を書くことすら許されていない,不自由な国だったのか.
 さて,今回は政教分離よりも近隣諸国の反発が問題になった.確かに近隣諸国との友好は大切にしなければならない.しかし内閣総理大臣の仕事としてもっと大切にしなければならないことがある.主権国家として日本の主権を守ることである.つまり日本のやることは日本が主体的に決めなければならない.日本の内閣総理大臣がやることに外国が口を突っ込んではならないし,その圧力に屈してはならない.そうした中で中国の唐家セン外相は「やめなさいと言明(厳命)しました」と言ってきた.信じられない発言である.誰がどう見ても内政干渉にほかならないことを堂々と言ってきたのだ.こんな外務大臣がいてもいいのだろうか?日本を属国としか見ていないのではないだろうか?こんな人物が外務大臣を務める国はとても信用できない.もっと信じられないことにわが国の田中外務大臣が「中国側の考えはよく分かった、8月15日まではまだ時間あるので、中国側の考えについては、帰国後私から総理に伝える」と言ったのだ.本来,こんな内政干渉発言に対してはわが国として受け入れられない旨を述べるべきでないのか?その後も田中大臣は総理に対して参拝中止を求めていた.到底外務大臣とは思えない行動である.いくら父親(田中角栄総理)が日中国交正常化に尽力したといっても日本の国益に沿わないことをやるべきではない.
 結局総理は13日に参拝した.落胆した.外圧に屈したのだ.国民は小泉総理を期待していた.だからあれだけの支持率があったのだ.その総理が公約を破ったのだ.あの総裁選の「いかなる批判があろうとも必ず」はなんだったのか?できないなら言わなければよかったじゃないか.
 このことがこれからの小泉改革に影響しないように望みたい.そして来年以降は「8月15日、戦没慰霊祭が行なわれるその日に、いかなる批判があろうとも必ず参拝」していただきたい.

 

 

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